税理士への相談は、タイミングを誤ると本来得られたはずのメリットを取り逃してしまうことがあります。

「もっと早く相談していれば、もっと節税できたのに」「契約書を交わす前に聞いておけば、こんな処理にはならなかったのに」という後悔は、実は税理士の現場で頻繁に耳にする声です。

本記事では、相談すべきベストなタイミングを、会社のステージ、季節、意思決定の場面という3つの切り口から整理いたします。

【基本原則は「決まる前」に相談すること】

税理士への相談で最も大切な原則は、意思決定の「前」に相談するということです。

すでに契約を交わしてしまった、もう支払いを済ませてしまった、という段階では、税理士ができることは限定的になります。

逆に、まだ何も決まっていない段階で相談すれば、選択肢を比較しながら最も有利な道を選ぶことができます。

「決まったら報告する」のではなく「決める前に相談する」 この姿勢に変えるだけで、税理士の価値は大きく変わります。

【会社のステージ別タイミング】

創業前は、法人で始めるか個人で始めるか、資本金をいくらにするか、役員報酬の設定など、後から変えにくい意思決定が集中する時期です。

最も相談効果が高いタイミングといえます。

創業1年目は、経理体制の構築、節税の基本、消費税の課税事業者選択など、最初の判断が後に大きく効いてきます。

売上拡大期には、設備投資や採用に伴う資金計画、法人成りの検討、組織再編など、税理士の視点が経営判断に直結します。

事業承継を考える時期には、株価対策・贈与計画・退職金の設計などを早期に始めるほど打てる手が増えます。

事業承継は「承継したい時期の5〜10年前」から準備を始めるのが理想です。

株価対策・後継者教育・株式の集約には時間がかかるため、60歳を過ぎたらまず一度相談しておくのが安心です。

【年度・季節別タイミング】

決算月の3か月前は、節税対策ができる最後のタイミングです。決算が終わってから「今期の節税はどうするか」と相談しても手遅れです。

期首は、新年度の経営計画や役員報酬の設定を行う重要な時期です。

役員報酬は期首から3か月以内に決めなければ損金算入が認められないため、ここでのスピードが税負担を左右します。

役員報酬は、期首から3か月以内に株主総会で決定したものを、その後1年間「毎月同額」で支給しなければ、法人税法上の損金として認められません。

これを「定期同額給与」といい、ルールから外れると数百万円の追徴課税につながることもあります。

(参考:国税庁タックスアンサーNo.5211「役員給与の損金不算入」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm )

中間決算は、年度後半に向けた軌道修正を行う絶好の機会です。賞与や年末調整の前も、相談しておくと処理がスムーズになります。

【意思決定別タイミング】

大型の設備投資、借入、不動産の購入や売却、退職金の支給、増資や自己株式の取得など、金額の大きな意思決定の前は必ず相談しておきたい場面です。

後から税務処理を変えることはできませんが、事前に相談すれば、取引の組み方そのものを工夫できます。

例えば、不動産売却を契約してから相談に来られた場合、「もう少し早ければ譲渡所得の特例が使えた」「年度をまたぐだけで税負担が大きく変わった」といったケースが頻繁に発生します。

【トラブル時こそ早めの相談を】

税務調査の事前通知が来たとき、大口取引先が倒産したとき、急な資金繰り悪化に直面したとき 、こうした非常時こそ、相談を遅らせるほど打てる手が減っていきます。

「もう少し様子を見てから」という判断は、結果として選択肢を狭めてしまうことが少なくありません。

税務調査の事前通知は、顧問税理士がいる場合は税理士へ届くのが原則ですが、顧問契約のない事業者様には直接ご連絡が入ります。

連絡が入った段階での相談でも、調査までの限られた時間で打てる手はあります。

【相談を最大化する3つのコツ】

相談の効果を高めるためには、1つ、関連する資料をできるだけ揃えて持ち込むこと、2つ、まだ決まっていないことも含めて率直に話すこと、3つ、税理士と一緒に選択肢を作っていくスタンスで臨むことです。

「答えをもらう」のではなく「一緒に考える」関係性が、税理士の価値を最大化します。

相談時に持参すべき資料

「初めての相談で何を持っていけばいいかわからない」というお声をよくいただきます。

最初から完璧に揃える必要はありませんが、手元にあるものをできるだけお持ちいただくことで、初回相談の内容が一気に具体的になります。

法人の方は、直近3期分の決算書、最新の試算表、税務申告書の控え、就業規則や役員報酬規程、主要な契約書類、納税通知書、銀行借入の返済予定表などをご用意いただけると、現状把握がスムーズです。

個人事業主の方は、直近3年分の確定申告書、収支内訳書または青色申告決算書、売上・経費の帳簿、固定資産の一覧、保険契約の一覧などをご用意ください。

創業前の方は、事業計画書(手書きのメモでも構いません)、想定している事業の収支見込み、開業資金の調達計画、すでに支出した開業準備費用の領収書などをお持ちいただくと、創業時の論点を網羅的にお話しできます。

もし手元に揃わない資料があっても、その時点で「ない」とお伝えいただければ大丈夫です。

必要な資料は相談後に揃えていただく形でも、十分にお力になれます。

よくあるご質問

相談料はかかりますか?

税理士事務所により異なりますが、初回相談を無料で受け付けている事務所が多くあります。当事務所でも初回60分は無料でご相談を承っております。継続的な顧問契約を結ぶ場合は月額顧問料が発生しますが、スポット相談で都度料金をお支払いいただく形も選択可能です。

顧問契約を結ばないと相談できませんか?

スポット相談に対応している税理士事務所も多くあります。当事務所でも、創業判断のセカンドオピニオン、特定取引の税務確認、税務調査の立ち会いなど、スポットでのご相談を承っております。

すでに契約を交わしてしまった案件でも相談する価値はありますか?

あります。すでに決まった部分は変えられないことが多いですが、関連する付随取引の処理方法、今後同様の取引が発生する場合の備え、修正できる余地の確認など、できることは残っています。「もう遅い」と判断する前に、一度ご相談ください。

顧問税理士がすでにいるのですが、相談しても良いですか?

セカンドオピニオンとしてのご相談も承っております。専門領域(相続・国際税務・組織再編など)が異なる場合や、現在の顧問税理士との関係性に悩みがある場合など、判断材料を増やす目的でご活用いただけます。

どんなことから相談すれば良いかわかりません。

「相談することがまとまっていない」状態でも問題ありません。最初の30分は現状ヒアリングとして、事業の概要・お悩み・今後のご予定をお話しいただくところから始めます。具体的な質問でなくても、漠然とした不安や疑問の段階でご相談いただいて構いません。

【迷ったら早めに相談を】

税理士は、判断が決まってから処理する人ではなく、判断の前に一緒に考える人として関わってこそ、その専門性が活かされます。

「こんなことで相談していいのかな」と感じる小さな疑問こそ、早めに相談しておくのが正解です。

税理士小林ノブヒロ事務所では、初回60分のご相談を無料で承っております。

創業のご検討段階から、すでに事業を運営されている方の節税・資金繰りのご相談まで、まずはお気軽にお問い合わせください。

投稿者プロフィール

監修者 小林暢浩(税理士小林ノブヒロ事務所 代表税理士)
監修者 小林暢浩(税理士小林ノブヒロ事務所 代表税理士)
中小企業の経営者様の「一番身近で頼りになるパートナー」として、税務・会計を軸にしながら「お金に関する様々なお悩み」に幅広く寄り添うサービスを展開。
特に、経営者様が安心して本業に専念できる環境づくりと信頼関係の構築には定評がある。千代田区、文京区、神田地区を中心に地域に密着したサポートを提供している。

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