「これは交際費でしょうか、会議費でしょうか?」というご質問は、私のところにも非常に多く寄せられます。

3つの勘定科目(交際費・会議費・福利厚生費)は、見た目が似ているにもかかわらず、税務上の扱いが大きく異なります。

判断を誤ると、税務調査で否認されたり、損金算入できる範囲を狭めてしまったりするリスクがあります。

本記事では、3つの勘定科目の判断軸と、実務で迷いやすいケースを整理いたします。

3つの勘定科目の基本的な違い

交際費は、取引先や仕入先など、事業に関係する社外の人に対する接待・贈答・慰安などにかかる費用です。

法人税法上は損金算入に制限があり、中小法人は年800万円までの定額控除限度額または接待飲食費の50%のいずれかを選択できます。
(参考:国税庁タックスアンサーNo.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

会議費は、業務上の会議や打合せにかかる費用で、原則として全額損金算入できます。

社外の人との会議だけでなく、社内の会議も含まれます。

福利厚生費は、従業員全員を対象とした福利厚生に関する費用です。

社員旅行、健康診断、慶弔費、忘年会・新年会など、社員の慰労や生活支援を目的としたものが該当し、原則として全額損金算入できます。

「1人あたり10,000円ルール」の改正

2024年4月1日以降、1人当たり10,000円以下の飲食費は交際費等から除外できる扱いに改正されました(改正前は5,000円以下)。

これにより、これまで交際費として処理していた取引先との会食の多くを、会議費として処理できるようになっています。

ただし、この特例を適用するためには、次の情報を帳簿に記載しておく必要があります。

  1. 飲食年月日
  2. 参加者の氏名と関係性(取引先名・役職など)
  3. 参加人数
  4. 金額および飲食店の名称・所在地
  5. その他飲食費であることを明らかにする事項

これらの情報が記録されていなければ、特例を適用できず、交際費として処理することになります。

判断に迷いやすいケース

ケース1:取引先との会食で1人あたり12,000円だった場合

1人10,000円のラインを超えているため、特例の対象外となり、原則として交際費として処理します。

ケース2:社内ミーティングでケータリングを取った場合

社内のみの会議であれば、金額に関係なく会議費として処理できます。社員の慰労の側面が強い場合は、福利厚生費に該当することもあります。

ケース3:取引先へのお中元・お歳暮

贈答に該当するため、金額の多寡にかかわらず交際費として処理します。

ケース4:社員の慶弔費(結婚祝い・出産祝い・香典など)

社内規程に基づいて支給される慶弔費は、福利厚生費として処理できます。規程がなく恣意的に支給される場合は、給与とみなされる可能性があります。

ケース5:取引先の結婚式・葬儀への祝金・香典

取引先への支出のため、交際費として処理します。

結論としては、1人あたり10,000円を1円でも超えた時点で特例は使えなくなります。

事例1「取引先との会食で1人あたり12,000円。会議費にできますか?」

「11,000円なら、10,000円分を会議費・1,000円分を交際費」というような按分はできません。全額が交際費として処理されます。

事前に予算を組まれる場合、税込みで1人10,000円以内に収めるか、最初から交際費前提でご判断いただくのが良いと考えます。

事例2「社内ミーティングでケータリングを取りました。何費ですか?」

業務上の打合せが目的で、社員のみの参加であれば会議費で問題ありません。

ただし、月1回の定例会議で毎回豪華な料理を頼まれている場合などは、会議の実質より慰労の色合いが強いと見られ、福利厚生費もしくは交際費と判定される可能性があります。

1人あたりの金額がランチ相場(2,000〜3,000円程度)の範囲であれば、会議費として問題なく処理できます。

仕訳の例

取引先との会食(1人あたり8,000円、4人参加で合計32,000円)の場合

借方:会議費 32,000円
貸方:現金 32,000円

※帳簿に参加者名、目的、店舗名等を記載

取引先へのお中元(5,000円、10件で合計50,000円)の場合

借方:交際費 50,000円
貸方:現金 50,000円

社員旅行(社員全員参加、1人あたり50,000円)の場合

借方:福利厚生費 ××円
貸方:現金 ××円

※規程に基づき、おおむね4泊5日以内、会社負担額が社会通念上妥当な範囲

福利厚生費として認められるための条件

福利厚生費として処理するには、次の3条件を満たす必要があります。

  • 全従業員を対象としていること(一部の役員や特定の社員だけが恩恵を受けるものは認められません)
  • 社内規程として整備されていること(慶弔規程・社員旅行規程など)
  • 社会通念上、相当な金額であること

これらを満たさない場合、給与または交際費とみなされる可能性があります。

まとめ

3つの勘定科目の使い分けは、ルールを理解すれば難しくありませんが、帳簿への記載や規程の整備など、運用面での備えが欠かせません。

特に2024年4月の改正により会議費の範囲が広がったため、社内のルールを改めて整理する良いタイミングです。

税理士小林ノブヒロ事務所では、交際費の判定や福利厚生規程の整備に関するご相談も承っております。

「グレーゾーンの判断で迷っている」「規程を整えて節税を進めたい」というご要望があれば、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

監修者 小林暢浩(税理士小林ノブヒロ事務所 代表税理士)
監修者 小林暢浩(税理士小林ノブヒロ事務所 代表税理士)
中小企業の経営者様の「一番身近で頼りになるパートナー」として、税務・会計を軸にしながら「お金に関する様々なお悩み」に幅広く寄り添うサービスを展開。
特に、経営者様が安心して本業に専念できる環境づくりと信頼関係の構築には定評がある。千代田区、文京区、神田地区を中心に地域に密着したサポートを提供している。

弊社サービスをご検討いただきありがとうございます。
起業や税金節約、税理士に対するご希望など、ざっくばらんに何でもご相談いただけます、お気軽に世間話感覚でOKです!(*^^*)
お問い合わせ・資料請求、無料相談のご予約は、下記のフォーム・LINEまたはお電話でお気軽にご連絡下さい。
初回ご相談60分無料です!



    必須 当社を何で知りましたか

    任意 よろしければ検索キーワードやご紹介の場合はご紹介者様をご記入ください

    必須 お問い合わせ項目

    必須 お問い合わせ内容

    必須 お名前

    任意 会社名・屋号

    任意 業種

    必須 メールアドレス

    任意 電話番号

    ◯平日であれば、通常は翌日までに返信させていただきます。
    ◯お問い合わせいただいた後、平日にもかかわらず返信がない場合は、迷惑フォルダやメールアドレスの入力ミスがないかをご確認くださいませ。