公務員の夏季賞与支給日はつい先日の6月30日と毎年決まっていますが、一般企業では7月に入って、これから夏季賞与の支給が始まる会社も多いのではないでしょうか。

夏季賞与を支給したあと、すぐに対応が必要になるのが「賞与支払届」の提出です。

毎月の給与とは計算の仕組みが異なり、提出期限も短いため、支給後にあわててしまう経営者様も少なくありません。

本記事では、賞与支払届の提出期限から社会保険料・源泉所得税の計算、令和8年4月から始まった子ども・子育て支援金への対応、賞与を支給しなかった場合の手続きまでを、日本年金機構・国税庁・こども家庭庁の公式情報に基づいて整理いたします。

賞与支払届は支給日から5日以内に提出します

従業員に賞与を支給した場合、支給日から5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」を、事業所を管轄する年金事務所または事務センターへ提出します。

この届出をもとに標準賞与額が決定され、賞与にかかる保険料が確定します。

電子申請(e-Gov)や電子媒体での提出にも対応しており、算出された保険料は毎月の保険料と合算されて、賞与支払月の翌月に納入告知書で通知されます。納付期限は翌月末です。

たとえば7月に賞与を支給した場合、保険料の納付期限は8月末となります。

なお、健康保険組合に加入している事業所では、年金事務所と健康保険組合の両方への提出が必要です。

出典:日本年金機構「従業員に賞与を支給したときの手続き」

【小林コメント】

小林税理士

この事例としまして、都内のある会社では、夏季賞与の支給後に担当者が産休に入り、賞与支払届の提出が2週間ほど遅れてしまいました。提出が遅れても直ちに罰則が科されるわけではありませんが、保険料の通知が後ろ倒しになり、納付や経理処理が複雑になったことがあります。そのようなことを未然に防ぐため、支給日と提出期限をセットでカレンダーに登録しておくことをおすすめいたします。

標準賞与額には健康保険と厚生年金で異なる上限があります

保険料の計算のもとになるのが「標準賞与額」です。標準賞与額は、税引き前の賞与総額から1,000円未満を切り捨てた金額をいいます。

ここで注意したいのが、健康保険と厚生年金保険で上限の考え方が異なる点です。

  1. 健康保険の上限は、年度(毎年4月1日から翌年3月31日)の累計額で573万円です。
  2. 厚生年金保険の上限は、1か月あたり150万円で、同じ月に2回以上支給した場合は合算して判定します。

また、事業主が全額負担する「子ども・子育て拠出金」(令和7年度以降0.36%)も、厚生年金と同じ標準賞与額をもとに計算します。

出典:日本年金機構「厚生年金保険料額表」

【小林コメント】

小林税理士

業績好調な卸売業の会社様で、役員へ高額な賞与を支給した際、健康保険の年度累計573万円を超えていたケースがありました。同一年度内に同じ保険者で勤務が続いている場合、上限を超えた分には健康保険料はかかりませんが、被保険者からの申し出に基づく届出(標準賞与額累計申出書)が必要になります。高額賞与のある会社では、支給のたびに年度累計を記録しておくと届出漏れを防げます。ここは注意が必要です。

令和84月から始まった子ども・子育て支援金にご注意ください

令和8年4月からは、健康保険料に上乗せする形で「子ども・子育て支援金」の徴収が始まりました。令和8年度の支援金率は0.23%(労使折半・各0.115%)で、標準報酬月額および標準賞与額に乗じて計算します。

事業主全額負担の従来の「子ども・子育て拠出金」(0.36%)とは別制度であり、両制度が併存する点にご留意ください。

令和8年夏季賞与から、賞与明細上の控除項目や会計処理に影響が出ますので、給与ソフトの設定を必ずご確認ください。

出典:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」

賞与から控除する社会保険料と源泉所得税の計算

賞与にかかる社会保険料は「標準賞与額×保険料率」で計算し、会社と従業員で折半して負担します。

健康保険料率は加入する保険者(協会けんぽは都道府県ごと)によって異なるため、必ず賞与を支給した月の最新の料率を使用します。

令和8年度保険料額表はこちら(都道府県別のPDFが掲載されているページです)

源泉所得税については、毎月の給与とは別に「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和 8 年分)はこちら)を使います。

具体的には、前月の給与(社会保険料等控除後)と扶養親族等の人数から税率を求め、その率を社会保険料等控除後の賞与額に乗じて計算します。

前月給与がない場合や、賞与が前月給与の10倍を超える場合は、算出率の表ではなく「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を用いた別の計算方法によります。

出典:国税庁タックスアンサーNo.2523「賞与に対する源泉徴収」

賞与を支給しなかった場合は賞与不支給報告書を提出します

日本年金機構に登録している賞与支払予定月に、いずれの従業員にも賞与を支給しなかった場合は、「賞与不支給報告書」を提出します。

賞与不支給報告書を提出すれば、賞与支払届の提出は不要です。

「支給しなかったのだから何も出さなくてよい」と考えてしまいがちですが、報告がないと年金事務所から届出未提出の案内が届くことがあります。

【小林コメント】

小林税理士

ある飲食店では、例年夏に賞与を出していたものの、その年は資金繰りの都合で見送りました。賞与支払予定月の登録が残っていたため、本来は賞与不支給報告書が必要だったのですが、提出を失念していました。支給を見送る判断をしたときこそ、不支給報告書の提出までを忘れないようにしたいところです。実務的には抜けやすいところですのでご注意ください。

よくあるご質問

Q.賞与支払届の提出が5日を過ぎてしまいました。どうすればよいですか。

小林税理士

期限を過ぎても、できるだけ早く提出してください。提出が遅れると保険料の通知や納付のスケジュールに影響します。

なお、賞与を支給してから2年を超えると年金記録への反映の時効が成立するため、遅延の場合でも2年以内の対応が重要です。

Q.役員賞与も賞与支払届の対象になりますか。

小林税理士

健康保険・厚生年金保険の被保険者であれば、役員に支給する賞与も届出と保険料計算の対象となります。

Q.年3回以下か4回以上かで何が変わりますか。

小林税理士

労働の対償として年3回以下支給されるものが標準賞与額の対象となります。

年4回以上支給される場合は、賞与ではなく報酬(標準報酬月額)として扱われます。

まとめ

賞与支払届は支給日から5日以内という短い期限があり、標準賞与額の上限や源泉所得税の計算など、毎月の給与とは異なる注意点が多い手続きです。

さらに令和8年度からは子ども・子育て支援金の徴収も始まり、賞与計算はいっそう複雑になっています。

処理に迷われた場合や、高額賞与・役員賞与で計算が複雑になっている場合は、お早めに専門家へご相談ください。

税理士小林ノブヒロ事務所では、賞与計算から各種届出まで、経営者様の実務をZoomなどを活用した遠隔(オンライン・リモート)対応にて行っています。気になる方は遠方からでもぜひご相談ください。お待ちしております。

投稿者プロフィール

監修者 小林暢浩(税理士小林ノブヒロ事務所 代表税理士)
監修者 小林暢浩(税理士小林ノブヒロ事務所 代表税理士)
中小企業の経営者様の「一番身近で頼りになるパートナー」として、税務・会計を軸にしながら「お金に関する様々なお悩み」に幅広く寄り添うサービスを展開。
特に、経営者様が安心して本業に専念できる環境づくりと信頼関係の構築には定評がある。千代田区、文京区、神田地区を中心に地域に密着したサポートを提供している。

弊社サービスをご検討いただきありがとうございます。
起業や税金節約、税理士に対するご希望など、ざっくばらんに何でもご相談いただけます、お気軽に世間話感覚でOKです!(*^^*)
お問い合わせ・資料請求、無料相談のご予約は、下記のフォーム・LINEまたはお電話でお気軽にご連絡下さい。
初回ご相談60分無料です!



    必須 当社を何で知りましたか

    任意 よろしければ検索キーワードやご紹介の場合はご紹介者様をご記入ください

    必須 お問い合わせ項目

    必須 お問い合わせ内容

    必須 お名前

    任意 会社名・屋号

    任意 業種

    必須 メールアドレス

    任意 電話番号

    ◯平日であれば、通常は翌日までに返信させていただきます。
    ◯お問い合わせいただいた後、平日にもかかわらず返信がない場合は、迷惑フォルダやメールアドレスの入力ミスがないかをご確認くださいませ。