消費税は、直前の課税期間(前年度のことです)の確定消費税額に応じて中間納付額や納付回数が決まり、一定額を超える場合には中間申告・納付の義務が発生します。
当事務所でも「税務署から消費税の中間申告書が届いたのですが、確定申告のとき以外にも消費税を支払う必要があるのですか?」といったご質問をいただくことがあります。
特にインボイス制度をきっかけに課税事業者になった方が、初めて受け取って戸惑われるケースがあります。
本記事では、この中間申告とは何か、誰が対象で、いつ・いくら納めるのか、基本的なところを順を追ってお話しします。

中間申告は、消費税を年の途中で前払いする仕組みです
消費税は本来、1年分をまとめて確定申告で納めます。
ただし、一定の規模を超えると、その年の途中で税額の一部をあらかじめ納める必要があります。これが中間申告・中間納付です。
イメージとしては、所得税の予定納税の消費税版だとお考えいただくとわかりやすいと思います。前もって一部を納めておき、年間の税額が確定したときに、その中間納付分を差し引いて精算します。
大切なのは、中間納付をしても納める消費税の総額は変わらないという点です。
前払いした分は確定申告できちんと差し引かれますので、二重に払うわけではありません。一度にまとめて納める負担を分散し、資金繰りを平準化する意味合いもある仕組みです。
【小林コメント】

インボイスをきっかけに課税事業者になった方にとっては「確定申告で納めたのに、また支払うのか」とお感じになると思います。
ただ、中間納税は、前年度の消費税額をもとに計算する当年分の前払いですので、見方を変えれば年度末に一気に全額支払うよりも楽になると捉えることも出来ます。
もちろん確定申告の際には、中間納税で納めた金額を差し引いて最終的な税額を精算しますので、同じ税金を二重に負担するものではありません。
中間納税の回数や金額は、原則として前年度の確定消費税額に応じて異なります。あらかじめ仕組みを知り、年度途中の納付も見込んで資金繰りを考えておくと、確定申告時の負担を抑えやすくなります。
対象になるのは、前年の消費税額(国税分)が48万円を超えた方です
中間申告が必要になるかどうかは、前の課税期間に確定した消費税額で判定します。
具体的には、そのうち地方消費税を除いた国税分が48万円を超えるかどうかが分かれ目です。48万円以下であれば、原則として中間申告は必要ありません。
ここで気をつけていただきたいのは、判定に使うのは国税分の金額だという点です。
地方消費税を含めた納付総額や、売上そのものの金額で判断するわけではありません。前年の消費税の申告書のどの数字を見ればよいか、迷ったら確認してください。
なお、インボイス登録で課税事業者になっていても、前年の国税分が48万円以下であれば中間申告の義務はありません。また、開業したばかりで前年の実績がない年も、中間申告は不要です。48万円以下の方でも、任意で年1回の中間申告を選び、納税資金を分けて準備しておくこともできます。
【小林コメント】

「納めた消費税の総額が48万円を超えたら対象」ということではなく、実際は地方消費税を除いた国税分です。
総額で見てしまいがちですが、あくまで国税分ということを知っておかれると良いと思います。
前年の申告書をもとに、どの欄の金額で判定するのかを顧問税理士と一緒に事前確認しておくと安心ですね。
納める回数と金額は、前年の税額で決まります
前年の確定消費税額(国税分)の大きさによって、中間申告の回数は、年1回・年3回・年11回に分かれます。回数が増えるほど、1回あたりの金額は小さくなります。
最も多いのが年1回のケースで、これは前年の国税分が48万円を超え400万円以下の場合です。このときは、前年の税額のおよそ半分に地方消費税分を加えた金額を納めます。国税分が400万円を超え4,800万円以下なら年3回、4,800万円を超えると年11回になります。
金額は、原則として税務署が前年の実績をもとに計算し、納付書とともに通知してくれます。これを予定申告方式といいます。届いた金額をそのまま納めればよいので、ご自身で複雑な計算をする必要はありません。

個人事業者で年1回の方は、8月末が申告・納付期限です
個人事業者で年1回の中間申告に該当する場合、その年の1月から6月までが対象期間となり、申告と納付の期限は8月末日です。2026年は8月31日が期限にあたります。
法人の場合は、事業年度によって中間申告の時期が変わります。ご自身の決算月に応じて時期が決まりますので、通知が届いたら期限を必ずご確認ください。
個人事業者の方にとって、8月末は個人事業税の第1期の納期とも重なりやすい時期です。人によっては所得税の予定納税も加わり、夏は納税が集中しやすくなります。通知が届いたら早めに金額を把握し、資金の準備をしておくことをおすすめします。
【小林コメント】

8月末は、消費税の中間納付と個人事業税の納期が重なることがあり、「思ったより出費の多い時期」と感じられると思います。
事前の心の準備が必要で、前年の申告内容から、夏にいくらくらいの納税額になるのかはある程度見通せます。
金額が大きくなりがちな納税額の全体像を早めに把握し、資金繰り計画をしっかり立てておくようにしてください。
業績が下がった年は「仮決算方式」という選択肢があります
中間納付の金額は、通知どおりの予定申告方式で納めるのが基本です。
ただし、それに代えて、中間申告の対象期間だけで仮に決算を行い、その実績にもとづいて税額を計算する仮決算方式を選ぶこともできます。
前年は好調だったものの今年は売上が落ちている、といった年は、前年実績で計算される予定申告方式よりも、仮決算方式のほうが中間納付を抑えられることがあります。資金繰りが厳しい年の選択肢として知っておくと役に立ちます。
ただし、仮決算には手間がかかり、明細書の添付も必要です。計算の結果がマイナスになっても、中間段階で還付を受けることはできません。また、期限内に仮決算方式で手続きをしないと、自動的に予定申告方式で申告したものとみなされ、期限を過ぎてから仮決算に切り替えることはできない点にも注意が必要です。
【小林コメント】

前年が好調で今年は落ち込んでいる、という年に、仮決算方式で中間納付を抑え、資金繰りを楽にすることも、状況によっては検討する価値がある方法です。
一方で、仮決算には手間もかかりますので、その効果と手間を見比べて判断することになります。
どちらが有利になりそうか迷われたときは、早めに顧問税理士にご相談してもらうと良いと思います。税理士小林ノブヒロ事務所でも、随時、ご相談をお受けしております。

よくあるご質問
Q. 中間で納めた分は、あとで戻ってくるのですか。

中間納付した分は、その年の確定申告で納める消費税から差し引いて精算します。納める総額は変わりません。年間の税額よりも中間納付が多くなった場合は、差額が還付されます。
Q. 通知が届いたら、必ずその金額を納めるのですか。

予定申告方式の場合は、通知された予定納税額を期限までに納めていただければ大丈夫です。仮決算方式により納税額を少なくしたい場合は、期限内に仮決算による中間申告の手続きが必要です。
いずれの場合も、納付期限を過ぎると、国税では原則として延滞税がかかりますのでご注意ください。なお、地方税などは税目により手続きや名称が異なる場合があります。
Q. インボイスで課税事業者になったばかりでも、中間申告は来ますか。

前年の消費税額(国税分)が48万円を超えていれば対象になります。48万円以下であれば、任意の中間申告を選ぶ場合を除き、原則として中間申告は不要です。
Q. 納付が難しいときはどうすればよいですか。

通知を放置すると延滞税がかかることがあります。一括での納付が難しい場合でも、猶予や分割を相談できる制度がありますので、まずは所轄の税務署へ早めにご連絡ください。
まとめ
消費税の中間申告は、前年の消費税額(国税分)が48万円を超えた方が、その年の途中で消費税を前払いする仕組みです。
回数と金額は前年の税額で決まり、多くの場合は税務署から届いた通知どおりに納めれば足ります。個人事業者で年1回の方は8月末が期限で、個人事業税とも重なりやすい時期です。
業績が下がった年には仮決算方式という選択肢もありますが、手間や期限の制約があります。中間納付は確定申告で精算され、総額は変わりませんので、まずは通知の内容と期限を確認し、夏の資金繰りに備えていただければと思います。
ご自身が対象になるか、仮決算を使うべきかなど、判断に迷う点がありましたら、税理士小林ノブヒロ事務所までお気軽にご相談ください。
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中小企業の経営者様の「一番身近で頼りになるパートナー」として、税務・会計を軸にしながら「お金に関する様々なお悩み」に幅広く寄り添うサービスを展開。
特に、経営者様が安心して本業に専念できる環境づくりと信頼関係の構築には定評がある。千代田区、文京区、神田地区を中心に地域に密着したサポートを提供している。
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